分光的な光反射モデルに基づいた人間の視覚系モデルを構築した。それを用いてディスプレイなどのデバイス特性に依存しない物体のCG再現手法を開発した。本研究では構築した人間の視覚特性モデルに色覚異常の等色関数を用いたことにより、色覚異常者の視覚特性に基づいた3DCG画像生成が可能となった。 本年度の研究内容は以下のとおりである。 (1)ディスプレイデバイスやカメラといった映像デバイスの較正 精密な色再現を行うために、分光光度計を用いてディスプレイやカメラの分光特性を計測し、色特性のキャリブレーションを行った。 (2)光反射計測系の開発 物体表面の光反射強度分布を計測するための光反射計測系を試作し、その計測系を用いて物体表面の反射特性を計測した。計測した物体の反射光強度分布は反射モデルと適合し、反射モデルパラメータを推定した。ここではモデルパラメータを決定することにより物体表面の反射特性を定量化した。ここで求めた反射モデルパラメータに基づいて物体をCG再現する(色彩情報シンポジウムin長野2007)。 (3)GPUによる分光べースレンダリング手法の開発 本研究では、分光べースの光反射モデルに基づいて、対象物体を3DCGで画像再現するため、RGBカラーべースの映像生成手法と比較して処理量が大幅に多くなる。そこで、GPU上に本研究で開発した視覚モデルと分光ベースの反射モデルを実装し、画像生成速度を高速化した(情処学会研究報告CG-129 2007他)。 (4)色覚異常モデルの構築と映像化 色覚異常の等色関数に基づいて視覚モデルを構築した。分光的な光反射モデルに、開発した視覚モデルを用いて色覚異常者の視覚特性に合わせて映像化を行った(論文投稿準備中)。
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