本研究は、行動計画に利用できる計算量の変化を考慮に入れた画像からの環境情報抽出方法を確立することを目指し、作業に対する情報の重要度を基に必要な計算量を変化させることが可能な画像からの環境情報抽出手法を構築することが目的である。 今年度は、異なる解像度から環境情報を抽出する方法論の具体的な適用例として、移動ロボットの自己位置推定問題を扱い、環境中の各位置を同定するための環境情報を抽出するシステムを構築した。このシステムでは、遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm : GA)を用いて各位置を推定するのに適した環境情報を抽出するが、その際、画像の解像度を変化させながら環境情報の抽出を行う。これにより、自己位置推定時に必要な計算量を変化させるのに画像の解像度を変化させても、自己位置推定性能は劣化しない。また、本研究では自己位置推定に正規化相関係数を用いているが、本手法は移動ロボットの動作により生じる画像の位置ずれに自己位置推定性能が大きく影響されるため、位置ずれ補正を自己位置推定システムに組み込むことで、自己位置推定性能の安定化を図った。 提案手法の有効性を検証すべく、実際に移動ロボットに搭載したカメラから取得した環境中の画像を用いた自己位置推定実験を行った。実験により、画像の解像度を変更しても自己位置推定性能に影響の小さい環境情報が提案手法を用いて抽出できることが確認された。また、位置ずれや気象条件の変化にも自己位置推定性能への影響が少ないことが確認された。これらの研究成果を、国際会議1件ならびに国内会議3件で発表した。
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