研究課題
本研究では、ハンズフリー音声認識システムの性能向上を目指して、低次の反射音を「雑音」として抑圧するのではなく「目的音」として有効利用できないかという着想に基づいた新しい反射音有効利用の枠組みの確立を目指して、科学研究費補助金交付期間内に次の点を明らかにすることを計画している。1.ハンズフリー音声受音・認識システムに適した反射音・残響に関する新たな尺度の提案2.1.の尺度に基づく、音声認識時に有効利用可能な反射音と残響分別の枠組みの確立3.1.の尺度に基づく、反射音を有効利用したハンズフリー音声認識システムの構築4.直接音レス環境(直接音受音不可環境)における反射音を用いたハンズフリー音声認識システムの構築昨年度までの研究成果により、室内音響指標IS03382に基づく「2点間信号減衰量」はハンズフリー音声認識性能と相関が高いことに着目し、室内音響指標IS03382を用いて音声認識時に有効利用可能な初期の反射音と抑圧すべき後続の残響音との最適な分離時間が25ms-30ms程度であることを確認した。そこで本年度は昨年度までの研究成果をもとに、残響時間と室内音響指標IS03382を用いてハンズフリー音声音声認識性能の推定を試みた。この試みにより、直接音レス環境を含めて音源とマイクロホン間の伝達関数さえ事前に把握することができれば、高精度にハンズフリー音声認識性能を推定できることが明らかとなった。この研究成果により、あらゆる環境でハンズフリー音声認識性能を簡潔に把握できることから、さまざまな音声認識アプリケーションのフィールドテストなどに役立つと期待している。
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