(1)識別器のオンライン更新手法の開発。識別器パラメータの簡単な更新式を導くことにより、新しいデータが加わった場合に、オンラインでパラメータの更新を行うことが可能となった。二人の被験者について実験を行った。識別器の再学習をセッション間で行うという従来の手法に比較して、長時間にわたる実験(例えば20分の実験を7セッション行う)におけるパフォーマンスが非常に改善された。 (2)特定のデータに対する信頼度の推定。我々の識別器においてはGaussian mixtureが用いられているが、そこでの評価関数(エントロピー)が与えるのは、各データが帰属すると考えられるクラスのみであり、その帰属の信頼度は与えない。この点は、データがクラスのテール部分にある場合に問題となる。我々はこの問題を、"no-class"に対応するn+1番目のクラスを導入することによって解決した。 (3)手法の妥当性の検証。the department of Medical Physics of University College of Londonとの協力によりEEGデータを収集した。データ処理は現在進めつつあるが、既に次のような結果が得られている。(a)force parameterにより、特に10HzバンドでEEG信号が変調されていること。(b)我々の識別器によって信号の違いが識別可能であること。もしこれらが確認されれば、脳梗塞のリハビリにおけるfunctional electrical stimulationのタイミングや強さを、EEG信号を用いて決定することへの重要な成果となる。
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