本研究は同期に基づいた情報統合モデルの理論構築およびそのハードウェアを実現すべく研究を進めてきた。理論の満たすべき性質として、「同期」、「パルスによる学習」、「カオス性」の3つに着目した。 今年度は昨年度に見出した「同期クラスタのカオス的組み換え」に関する結果をNeural Networks誌に投稿し、採択・印刷された。また、同期クラスタの組み換えが容易であると思われる「弱い同期(Stochastic Synchrony of Chaos)」という現象について解析と論文投稿を行い、Neural Computation誌に採択された(印刷中)。さらに、ネットワークの結合を非一様にした際に見出される「Rewiring-induced bifurcation」について解析を進めている。この解析は最適なネットワーク構造を探るという意味で「パルスによる学習」に今後関連するであろう。 以上の理論的な研究と同期に、この同期モデルのアプリケーションとして強化学習によるロボットの運動制御に取り組み、市販の二足歩行ロボットをPCから制御するための回路およびインターフェイスプログラムを作成した。このプラットフォームの完成により、今後の学習実験に役立てるための環境が整ったといえる。
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