研究概要 |
RoboCupは,ロボット工学や人工知能などの研究者に対して共通の研究プラットフォームを与えるランドマーク的なプロジェクトである.このプロジェクトには複数のリーグが含まれており,サッカーリーグ,レスキューリーグの他にも,次世代のRoboCupプロジェクトを背負っていく人材教育の役割を果たすジュニアリーグがある.この中でも,サッカーリーグは,「2050年までに人間の世界一チームにロボットチームが勝利する」という明確な目標を掲げており,RoboCupの代表リーグといえる.サッカーリーグには,二足歩行型,中型,小型,四足型といったロボット工学により強いつながりを持つリーグと,人工知能の研究・発展に重点を置いたシミュレーションリーグがある.本研究では,シミュレーションリーグを取り扱う. 3年の研究期間のうち,初年度に当たる17年度では,進化型計算によるチーム戦略獲得アルゴリズムの開発を行った.RoboCupサッカーでは,1試合は10分であり,従来行われてきた進化型計算と比べて比較的評価時間が長い.このため,並列計算機環境を構築し,同時にサッカーの対戦を実行することにより,複数の個体の評価を行うことができるようにする必要があった.計算機同士の接続はイーサネットで行った.科研費で購入したスイッチングハブを介し,16個のPC-UNIXをインストールしたデスクトップPCからなる並列計算環境を構築した.PC-UNIXとして,フリーで供給されえているLINUXを使用し,並列計算環境上でのチーム戦略獲得アルゴリズムの実装を行った.初年度は個体数を少なめに設定した.初期研究としての成果を挙げることに専念し,得られた成果を国内会議や国際会議にて,研究の成果を発表することができた.
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