研究概要 |
PID型制御系設計問題に対して,最適化手法の一つである遺伝的アルゴリズムを用いた設計手法の構築に関する研究を行った。PID型制御は構造が簡単であり,経験則を活かせる等の理由から,現在でも広く活用されている。しかし,PID型制御系設計問題は3次以上のプラントに対して単純な凸問題とはならない。また実際のプラントは様々な不確かさを持つためロバスト性を考慮すると問題はより複雑となる。さらに設計現場では,即応性や振動抑制性等の複数の制御仕様を考慮する必要があり,応答を見ながら試行錯誤的にコントローラのパラメータを調節しているのが現状である。本研究ではPID型制御系設計問題を,複数の制御仕様を同時に最適化する問題(多目的最適化問題)として考える。そのためには,制御仕様のそれぞれをいかに適切に評価関数として表現するかが重要なポイントとなる。本年度は従来の様々な表現手法を参考に,制御仕様やその変更がダイレクトに表れる評価関数をどのように表現するかについて研究を進めた。また,実際のプラントは様々な不確かさを持つため,プラントパラメータの変動を考慮したモデル化が必要である。しかし不確かさの表現方法に依存して,保守性が強くなる等の問題点が指摘されている。これまでの研究では,プラントの不確かさを多項式ポリトープで表現することにより,保守性を抑えてきた。本年度はこの表現方法の枠組みを活かして,実際のプラントをより的確に表現する方法について数理的な解析を行った。
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