研究概要 |
今年度は、精度と汎用性を向上させるために、自己組織化マップの学習の精度や、学習マップのクラスタリング方法について検討を行った。具体的には、学習パラメータの値を変えて学習を行い、腫瘍が他の部位と重なっている割合を調べて、最適な学習パラメータの評価を行った。また、学習マップのクラスタリングアルゴリズムと非類似度の計算方法を検討し、クラスタリング精度の改善を試みた。 【目的】デジタルファントムを用いて、SOMの学習やクラスタリングにおいての適切なパラメータの検討を行う。また、その手法を臨床例に用いて腫瘍部位を他の正常部位とは異なるクラスタとして、客観的、自動的に分類できるかの検討を行う。 【対象】ファントム実験の対象として、8つの部位にそれぞれ異なる値を与え、カウントに応じたノイズをかけた3種類のデジタルファントムを作成した。臨床例には骨軟部腫瘍症例3例のMRI撮影により得られる3種類の画像(Gd造影、T1強調、T2強調)を用いた。 【方法】3種類の画像の画素値から自己組織化マップ(SOM: Self-Organizing Maps)の学習を行い、3種類の機能の組み合わせに従って分布した学習マップを作成する。このマップに対してクラスタリングを行い、マップを8つのクラスタに分類し、その結果を元の画像に反映させる。SOM学習マップのサイズ(30,50,100)や学習パラメータC(6,8)を変えて学習、クラスタリングを行うことにより、ファントム画像がどのように分類されるかを検討した。非類似度の計算は重心法とward法を用いた.クラスタリング方法は,対象がデジタルファントムの場合は,各clusterの合致率を算出することによって評価を行う.対象が臨床例の場合は,医師の視認による評価を行う. 【結果】ファントム実験において、マップサイズを50、または100とした時、8つの部位を正確に分類することができた。学習パラメータCは分類結果に大きな影響を与えなかった。非類似度の計算には重心法の方がクラスタリングの結果がよかった。臨床例では2例において、SOMのマップサイズを50または100にすることにより、T1画像の輝度値が低く、T2画像の輝度値が高い腫瘍部位を1っ、もしくは2っのクラスタとして、正常部位とは異なるクラスタで分類することができた。
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