研究概要 |
本研究は,既存の専門用語辞書に現れている同義語対と訳語対をそれぞれサーチエンジンで検索し,各対が共起しているページにおいて,それぞれの語がどのような特徴的表現で結び付けられているかを把握することを第一ステップとする。そのような背景から,本年度はまず手始めに医学分野と応用物理学分野に焦点を当て,それぞれ『最新医学大辞典 第3版』(医歯薬出版,2005),『応用物理用語大事典』(オーム社,1999)の見出しに現れている同義語対・訳語対500対ずつの入力を終えた。Googleでこれらの対を検索しヒットしたページを調べたところ,医学分野の用語に関しては,同義語では「略称」「俗称」「とも」といった表現や括弧表現によって一方の同義語が示されている場合が多かった。だが応用物理学分野の用語に関しては,同義語が共に現れているページは少なく,同義語対を結び付ける特徴的表現はあまり抽出できなかった。専門用語の発生の仕方からして,医学分野にはかなり同義性の高い同義語が多いことが知られているが,応用物理学分野ではそのような同義語は少なく,上記の事典に挙げられている「同義語」もその同義性は低いことが考えられる。訳語に関しては多くの場合,括弧表現によって示されている場合が多かった。だが訳語といってもローマ字略語の場合が多く,括弧表現によって略語でない元の語がどれほど抽出できるかが課題として残された。今後は他の分野の同義語対・訳語対を入手し,同様の検証を試みると同時に,得られた特徴的表現によって,新たな同義語・訳語がどの程度得られるかを調査する予定である。
|