研究概要 |
平成17年度は,正則化局所尤度法を多次元データに適用するときの次元縮小法の1つとして,情報量基準に基づく変数選択法について研究した.通常の線形モデルの場合,情報量規準AICに基づくモデル選択法が様々な分野で適用されてきた.しかしながら,平滑化パラメータによってモデルの滑らかさを調節した非線形モデルの場合,平滑化パラメータの選択が重要であり,その選択結果が変数選択に大きな影響を及ぼすことになる.そこで本研究では,平滑化パラメータの選択を一般化情報量基準GICに基づいて行い,その有効性を検証した.さらに,局所尤度法に基づくロジスティック判別における変数選択問題に対して,GICに基づく変数選択法を提案し,その研究成果を2005年度統計関連学会連合大会で発表した. 実際に提案した統計手法を臨床データに適用するためには,数理統計だけでなくバイオ統計や臨床統計の知識が必要である.そこで,平成18年2月に,文部科学省科学研究補助金による国際シンポジウム「バイオ統計学:最前線とそれを支える理論の展開」を久留米大学バイオ統計センターの柳川堯教授と共同で開催した.また,国内で開催された(数理統計・バイオ統計に関する)学会やシンポジウムに積極的に参加し,今後の研究に対するアドバイスを頂いた. 今後の研究課題は,上で述べた変数選択法が実際の臨床データに適用できるかどうか,またモデルの候補となる変数間に強い相関がある場合にそれを考慮に入れた変数選択法を提唱することである.
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