研究課題
拡散テンソル核磁気共鳴像(Diffusion Tensor-Magnetic Resonance Imaging ;DT-MRI)は、脳内水分子の拡散状態を計測し、脳梗塞、脳腫瘍、ワーラー変性などさまざまな症例の解明や研究に役立っている。一方、脳白質内の神経線維流れの情報は、解剖学的に得られる以外にはDT-MRIにより水分子の拡散方向を流れとして捉えるしか方法がない。脳白質内の神経線維の流れは、tractographyやelipsoid表示として提案されている。本研究では、DT-MRIから得られるデータセットを用いてテンソル場における特異領域を算出し、神経線維の基点情報を可視化する手法を提案した。さらに、特異領域付近より始まる神経の流れを脳内の特定部位において可視化した。その結果、神経線維が互いに交叉することにより生じる神経線維流れの予期しない停止や分岐に一つの解決案を与えた。しかしながら、適切な神経線維路を定めるためには解剖学的な知見を必要とし、拡散特異領域において一つ一つ適切な経路を選択しなければならないという問題が残っている。そこで、拡散特異領域をより高速に求める拡散識別子を提案した。拡散識別子はFractinal AnisotropyやApparent Diffusion Coefficientにより代表される水分子の拡散状態を表す数値であるが、DTIにおいて、拡散特異領域をより高速に求める手法は提案されていなかった。我々は、拡散テンソルの二重退化点(DA ; Diffusion-Anisotropic)および三重退化点(DS ; Diffusion-Spherical)を固有値分解を経ずに算出することにより、より高速に拡散退化点を求める手法を提案した。
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The Journal of the Society for Art and Science 5・1(11月17日)
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