神経細胞モデルの振舞いは、連立の非線形微分方程式の解を数値積分することで求められる。本研究では、効率よく大規模な神経回路モデルをシミュレートするための神経回路モデル計算専用LSIの設計をすることが目的である。 本年度は、まず単体の神経細胞モデルの一つであるヤリイカ巨大軸策のモデルであるHodgkin-Huxleyモデルの専用計算LSI設計を目標とした。まず、FPGA設計フローの習得するため、FPGAテストボードとソフトウェアを購入し、ハードウェア設計の専門家に相談したり、講習会を受講したりした。FPGA設計を行うに当たって、Hodgkin-Huxleyモデルの演算をFPGAに取り込み可能な形で演算機能を抽出し、アルゴリズムの設計を行った。神経回路モデルの計算は、通常浮動小数点演算を多く含むため、FPGAで設計した場合、回路規模が大きくなることが問題である。そこで、グループ化できる演算をまとめて演算回数を少なくし、テーブルを利用することで、浮動小数点演算を減らす工夫をした。ただし、テーブルを用いた計算で誤差が大きくなる可能性があるため、誤差を少なくするための検討をしている。さらに、可能な部分については、近似計算により演算を減らした。一方、ハードウェアが完成していないため、グラフィカルユーザーインターフェイスによるソフトウェアの開発は遅れている。 18年度以降に、上記のアルゴリズムをハードウェアへ組み込み、動作の検証を行う予定である。また、本年度はメーカーの販売しているFPGAテストボードを使用して設計を行っているが、今後独自のFPGAボードの試作を行うことを計画している。
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