神経細胞モデルの電気的活動を実時間でシミュレートするハードウェアの作成を目的として、17年度より本研究に取り組んでいる。目的を実現するために、17年度は主にFPGAの技術的習得とプログラムの設計を中心に行い、18年度から神経細胞モデルを実際にFPGAに実装する取り組みを行った。想定している神経細胞モデルは、連立微分方程式を数値積分し、結果をアナログ出力するハードウェアである。18年度よりプログラミングに、FPGA記述言語であるVHDLに加え、FPGA開発用C言語を併用するようにした。FPGA開発用C言語は高級言語であるため、異なるタイプのイオンチャネルを取り込む場合などの拡張性の容易さが期待できる。 18年度は、ホジキンーハクスレイ型の神経細胞モデルの作成に先駆けて、より単純なFitzHugh-Nagumoモデルから取り組んだ。数値積分を処理する部分をC言語で作成し、VHDLに変換した。変換されたVHDL言語に対して、デジタル回路シミュレータModelSimを用いたシミュレーション等で動作を確認した。また、演算結果をアナログ信号で出力するためのD/A変換の制御用プログラムをVHDLにより作成し、シミュレーションとハードウェアでの動作を確認した。D/A変換用ICには、シリアル入力で、4チャネル出力に対応できるものを用意した。 ホジキンーハクスレイ型神経細胞モデルについては、数値積分処理部をFPGA開発用C言語で作成した。作成したプログラムのシミュレーションを行い、周期的な活動電位が生成できることを確認した。数値積分部と出力部を統合した神経細胞モデル全体のハードウェア実装は、18年度中に完成しなかったので、19年度の取り組み目標とする。
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