研究概要 |
音声言語に関わる中枢処理過程とその発達について解明するため,音声の表出と認知に関わるの2つの脳機能について検討した. 音声の表出に関しては,脳磁図を用いて,連続した発声(文章の音読や歌唱)に関連する事象関連脱同期(Event-related desynchronization : ERD)・同期(Event-related synchronization, ERS)の解析により,構音の企画・実行,呼吸コントロールやそれらのモニタリングに特異的な脳領域とその律動変化について検討し,成果の一部を学会にて報告した(第44回日本生体医工学会大会).また,発語の際には,自分の発語内容や構音が正確に表現できているかどうかを絶えず照合し,その後に続く発声器官の運動調節に役立てることが求められている.この聴覚フィードバックの変化が発語に与える影響について,子どもや発達遅滞を示す子どもを対象に,Lombard効果を指標として検討した.この研究経過を国際会議にて発表し,専門家と意見交換をした(Multi-Institutional International Symposium on [mei]). 次に,音声の認知に関しては,ヒトの声,特に自分自身の声に特有な聴覚野の活動について,非侵襲脳機能計測法を用いた研究を学会にて報告した(第22回日本脳電磁図トポグラフィー研究会).また,音声認知に関わる基礎的な研究として,先行する音によって変化する,聴覚野における脳磁場反応の側抑制について検討し,慣れによって引き起こされる神経系の適応や聴覚システムの側抑制の存在が証明された.この成果の一部は,学術誌に発表された(Eur J Neurosci,臨床脳波).
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