研究概要 |
音声コミュニケーションに関わる障害の理解のため,非侵襲的脳活動計測を用いて音声の表出と認知に関わる二つの脳機能について検討した. 音声表出については,空間フィルタ法(SAM)を用いて脳の各領域における脳磁場(MEG)反応を解析することによって,通常の発話や想起における,感覚・運動野など複数の発生源における特異的な律動変化を特定することに成功した.その成果の一部は学術誌に発表された(NeuroImage).また,聴覚フィードバック効果について検討し,自閉性障害を主訴とする発達障害児に特徴的な,発話時のモニタリング機構を捉えた.この研究経過の一部は,学会や講演等にて発表された(CNS 2006 annual meeting,第29回日本神経科学大会,立正大学心理学部・品川区教育委員会共催公開講座). 音声認知については,非侵襲脳機能計測法(MEG, EEG, NIRS)を用いて,ヒトの声(自分の声を含む)に特有な聴覚野の活動を記録した.現在,データを解析中であるが,一部が学術誌にて公表された(臨床脳波).声の認知は,顔認知と同様にコミュニケーションに重要な役割を果たすツールと考えられており,これの障害は,自閉性障害を主訴とする発達障害において,「心の理論」の欠陥等に反映されることばや社会性の障害をも解釈できると考えられている.そこで,非侵襲脳機能計測法(MEG, EEG, NIRS)を用いて自分自身や親しいヒトの声や顔に対する研究に着手し,自己認知や他者理解に関わるとされる前頭葉機能の活動について検討した.現在,複数の論文を執筆中であるが,一部の成果は公表された(28th International Congress of Clinical Neurophysiology,第48回日本小児神経学会総会,生理心理学と精神生理学,玉川大学学術研究所特別セミナー).
|