研究概要 |
本研究では、アストロサイトの一種である小脳バーグマングリアに発現するAMPA受容体の詳細な細胞内局在を免疫電子顕微鏡レベルで明らかにし、RNAiを用いたノックダウン実験を行い、バーグマングリアに発現するAMPA受容体の細胞表面局在機構を明らかにすることを目的として研究を行っている。 1.小脳バーグマングリアにおけるAMPA型グルタミン酸受容体の細胞内局在解 バーグマングリアに発現するAMPA型グルタミン酸受容体であるGluRα1,α4サブユニットに対する抗体を用いて免疫染色を行ったところ、小脳分子層の興奮性シナプスを取り囲むように陽性反応が観察された。さらに、免疫電子顕微鏡観察を行ったところ、興奮性シナプスのシナプス間隙に面するバーグマングリアの突起に陽性銀粒子反応が観察され、シナプスからの距離を測定しヒストグラムを作製したところ、シナプス間隙に面する細胞膜上に最も陽性反応が認められた。この結果から、バーグマングリアに発現するAMPA型グルタミン酸受容体は、シナプス間隙から流出してくるグルタミン酸を最も効率的に受容できる位置に局在するよう制御されていることが示唆された。 2.小脳バーグマングリアにおけるstargazinファミリー蛋白の細胞内局在解析 stargazinファミリー蛋白のmRNAの局在をin situハイブリダイゼーションで解析したところ、小脳バーグマングリアに発現するstargazinファミリー蛋白はγ4とγ5であることが明らかとなった。また、γ^4は蛋白レベルでも小脳バーグマングリアに発現することが明らかとなった。 3.培養系を用いたAMPA型グルタミン酸受容体およびstargazinファミリー蛋白のノックダウン実験 マウス小脳の初代培養の条件検討を行い、初代培養を安定して維持する方法を確立した。今後、この培養系を用いてRNAiを用いたノックダウン実験を行う予定である。
|