申請者らは最近、Dab1が樹状突起形成に関与すること、Dab1が核移行配列(NLS)と核外移行配列(NES)を両方持ち、核と細胞質間を両方向に移動しているシャトルタンパク質であることを明らかにした。これらの事実より、Dab1が核移行し、遺伝子発現をコントロールすることで、樹状突起形成を制御している可能性が、考えられる様になった。 平成17年度は、Dab1の核-細胞質間シャトリングについて詳細な解析を行なった。Dab1タンパク質中でのNLSとNES配列の特定を行ない、N末端側に一つのNLS、中央部にNES1、C末端側にNES2、計三つの核内外輸送シグナルを同定した。NES1とNES2の核外輸送活性は、核外輸送タンパク質であるCRM1をleptomycine B(LMB)で阻害することにより消失する為、RTES1とNES2は共にCRM1依存性の核外輸送に関与することが示された。NES1とNES2配列両方に変異を導入したDab1は核に蓄積するようになるが、さらにNLSに変異を導入すると細胞質に分布するようになることから、N床端のNLSが機能的に核移行シグナルとして働くことも示された。また、分散大脳皮質神経細胞においても、これらの核内外移行シグナルが機能することを示した。さらに、内在性のDab1もLMB処理により、核に蓄積してくることから、Dab1が生体内でもシャトリングしていることが示唆された(投稿準備中)。現在、エレクトロポレーション法によりDab1の核-細胞質間シャトリングの生理的役割について検証している。また、Dab1がどのように樹状突起形成に関与するか調べる為に、Dab1と核(細胞質)で結合するタンパク質をスクリーニング中である。
|