研究概要 |
平成17年度において、成体マウス(DBA/2 Cr, 4weeks)の虹彩組織細胞を用いて、まず神経前駆細胞マーカーであるNestin陽性の細胞へ効率的な脱分化培養方法として、無血清培地を用いたNeurosphere形成によるNestin^+細胞の選択培養、および種々の分化抑制因子を添加した接着培養によるNestin^+細胞の培養という2種類の培養方法を確立した。次に、Nestin^+細胞における細胞膜表面マーカーの共発現について調査したところ、p75 Neurotrophin receptor ; low affinity neurotrophin receptor (p75NTR)が発現していることがわかった。そこで、将来の臨床応用を想定した、次年度の実験動物を用いた移植実験において、移植細胞を同一個体の少ない虹彩細胞から得るため、接着培養してNestin^+/p75NTR^+細胞を増殖させる方法を選択することとした。接着培養で増殖したNestin^+/p75NTR^+細胞はCell Sorter (FACSVantage SE)を用いて高純度化することが可能であった。 このNestin^+/p75NTR^+細胞を無血清培地で培養すると多数のNeurosphereが形成され、この細胞を網膜細胞への特殊な分化誘導条件下で培養すると、in vitroにおいて網膜視細胞マーカーのRecoverin^+細胞へ分化させることができた。これら一連の成果について、投稿準備中である。平成18年度はこのNestin^+/p75NTR^+細胞を網膜に傷害のあるモデルマウスに移植し、in vivoにおける網膜電位の変化・回復についての研究を中心に実施していく。 なおp75NTRを用いた細胞培養技術については、本科研費交付前の平成17年2月23日に特許庁へ特許申請をしており、現在、審査中である(特願2005-047043)。
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