AChRのαサブユニットをコードする遺伝子CHRNA1上のinframe exonであるP3Aのalternative splicingを制御する因子の同定および機能解析を行った。 P3Aのalternative splicingを生じるαIVS3-8G→A mutationを解析した。 変異配列とその前後15merを含んだoligo DNA(計31mer)およびその対象として同一部位の正常配列より、in vitro transcription法によりBiotin標識したUTPを取り込ませながらprobe RNAを合成した。HEK293細胞より抽出した核タンパクとprobeを混合し、probeと核タンパクを結合させた。このRNA/蛋白複合体をstreptavidineビーズにより精製し、結合蛋白をWestern blotting法により同定したところ、probeには、スプライシング制御因子であるPTBP1とHnRNP-Hが結合することが判明した。特に、HnRNP-Hは変異配列で結合が著明に減弱していた。 次に、HnRNP-Hと特定の配列RNAに結合することが知られているMS2coat proteinの融合タンパク(MS2-HnRNP-H)発現プラスミドを作成した。変異部位にMS2結合配列を挿入したminigeneを作成し、Hela細胞にMS2-HnRNP-H発現プラスミドと共にtransfectionした。RNAを回収し、P3Aのスプライスパターンの変化を確認したところ、MS2-HnRNP-H発現によりP3A exon inclusionが著明に減少した。 以上により、αIVS3-8G→Amutationは、HnRNP-H結合部位を破壊し、HnRNP-Hが機能しなくなるため、alternativesplicingを引き起こすことが判明した。
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