研究概要 |
平成17年度は,私が脂質ラフトでのメルトリンの機能解析に使用した神経芽細胞N1E-115などの培養細胞への強制発現系を用い,脂質ラフトでのメルトリンによるグリア増殖因子ニューレグリンのプロセシング活性を指標にその制御機構を明らかにすることにより,グリア増殖因子シグナルが神経筋結合部の形成と維持に果たす役割に関する知見を得ることを目的とした. まず,メルトリンを強制発現させた培養細胞を用いたパルスチェイス実験,培養下の後根神経節ニューロンを用いたメルトリンと各種細胞内小器官に対する抗体染色により,メルトリンが細胞内の脂質ラフト,特にゴルジ装置膜においてニューレグリンをプロセシングすることが示唆された(未発表). このことをより直接的に確かめるため,野生型,あるいはプロテアーゼ活性欠損型メルトリンを強制発現させたCOS7細胞に対して,アミノ末端に蛍光タンパク質を付加したニューレグリンを同時に強制発現させ,そのプロセシングとゴルジ装置との関連について,蛍光相関分光法(Fluorescence Correlation Spectroscopy)等を用いたより詳細な検討を行った.さらに,超遠心分画法を用いた小胞体,ゴルジ装置などの膜性細胞内器官を分画とウェスタンブロットを組み合わせて行い,メルトリンによるニューレグリンのプロセシングがゴルジ装置で起こるという結果を得た. 今後はこれらの知見について初代培養神経細胞を用いて検証する。また,メルトリン欠損マウスを用いることで,メルトリンによるニューレグリンプロセシングの活性依存的な制御機構について調べる計画である.
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