1 AP-3Bのcargo候補分子1;VGATの細胞内局在に関する研究 μ3BKOマウスではGABAの放出が顕著に低下していたことから、μ3BはSVに局在する小胞型GABA輸送体(VGAT)の輸送・局在を制御している可能性が考えられた。そこで、このVGATがμ3Bのcargoである可能性を検討した。VGATのアミノ酸配列を調べたところ、細胞質領域にジ-ロイシン(LL)・シグナル様の配列を見いだした。VGATのキメラ蛋白、及びHAタグを導入したVGATの一過性発現による解析から、このVGATのLLシグナルはエンドサイトーシス・シグナルとして機能することが判明した。またPC12細胞を用いた免疫蛍光染色から、VGATとAP-3はvesicle様構造に共局在することも判明した。さらに、VGATにN末端側細胞質領域には、C末端側のLLシグナルとは別の細胞内局在を規定する領域が存在し、別々の機構により細胞内局在が制御されていることがわかった。 2 AP-3Bのcargo候補分子2;Nischarinに関する研究 μ3Bをbaitにした酵母2ハイブリッド法により、新たにNischarinを単離した。HeLa細胞を用いたHA-Nischarinの一過性発現による生化学的解析により、AP-3がHA-Nischarinと共沈したことから、細胞内においても両者の相互作用が確認された。また、HA-Nischarinを強制発現した細胞では、CD63の細胞内局在に異常が見られたことから、AP-3の輸送系にNischarinは重要な役割を担っていることが明らかになった。NischarinはN末端にPXドメインを有し、それに続くcoiled-coli領域を介してエンドソームに局在することが判明していることから、NischarinはAP-3のエンドソーム膜へのリクルートにも関与している可能性が示唆された。
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