前年度成人視床下部及びヒトfetal brain cDNAライブラリーを用いOne-hybridにより同定したタンパクが含まれるベクターを酵母から抽出し大腸菌に形質転換し直した後、精製した。同定したタンパクはpGADT7-Rec2ベクターに組み込まれている為、in vitro転写翻訳システムによってHA融合組み替えタンパクの形で発現させることが可能である。in vitro転写翻訳システムによって発現させたタンパクとオレキシンプロモーター57bpとを反応させた後、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った<Electro Mobility Shift Assay (EMSA)>>。核酸であるオレキシンプロモーター57bpはSYBR Green、融合タンパクはSYPRO Rubyによって染色後、UV照射によるバンドの位置確認を行った。結果としてOne-hybridでの陽性クローン全てに関してEMSAではプロモーター配列の移動は見られなかった。抗HA抗体を用いたWestern blottingによって融合タンパクの発現は確認出来た。確認としてキットに添付のp53結合配列と組み替えp53を用いて同様にEMSAを行った結果、バンドの移動を確認した。抗HA抗体存在下でのsuper shiftも検出した。 感度はEMSAが高いとされており、真のクローンをOne-hybridで同定しているならEMSAによるバンドの移動が確認出来るはずである。即ち、前年度に同定した全ての陽性クローンが非特異であったと考えられる。非特異な反応を抑える為200mM 3-ATにて陽性クローンを得たが、EMSAにおいては陰性であった。そこで、1)最小プロモーターとして同定されている57bpでも余分な箇所を含むと2)1コピーで行っている為、パワー不足でスクリーニングした数が少なすぎる(成人視床下部で112万個、ヒトfetal brainで80万個クローンをスクリーニング済み)可能性が考えられる。今後の検討課題として、57bpを数コピー連結することは現実的ではなく10bp程度を4コピー以上連結しOne-hybridを行う事が望ましいと考えられる。 もう一つの可能性としてタンパク複合体が結合に必要である為、One-hybridシステムでは拾えない可能性も考えられた。
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