AMPA.-EPSCの短期可塑性の生後発達変化に対するAMPA受容体脱感作の寄与について ・神経誘発性AMPA-EPSCの短期可塑性の生後発達変化を調べた。シナプス抑圧に対するAMPA受容体の脱感作の寄与を調べるため脱感作阻害薬cyclothiazide(CTZ)の効果を調べた結果、生後7日でシナプス抑圧が減少したが14日以降では効果が見られなかった。この結果からAMPA受容体脱感作のシナプス抑圧に対する寄与が生後発達に伴い減少することが明らかとなった。 ・細胞体からのoutside-out patch膜に10mMグルタミン酸を二発投与しAMPA受容体の脱感作からの回復時間を調べた。生後7日、14日、21日の回復の時定数はそれぞれ151ms、26.5ms、16.1msで発達に伴い早くなることが明らかになった。 ・AMPA受容体サブユニットGluR1及びGluR4の局在の生後発達変化を免疫抗体法により調べた。シナプス膜直下、細胞体ともに発達に伴いGluR4の発現が増加するのに対しGluR1は減少した。また、単一細胞RT-PCR法により単一細胞レベルでのGluR1の含有率と脱感作からの回復時間との間には正の相関関係があることが明らかとなった。 ・生後1週のシナプスで細胞外Ca^<2+>濃度を減少させることで放出確率を半分にしシナプス抑圧に対する脱感作の寄与を調べた。逆に生後2週のシナプスで細胞外Ca^<2+>濃度を増加させることで放出確率を倍にして同様の実験を行った。その結果脱感作の寄与のあった1週目でそれが消失し、逆に2週目で脱感作の寄与が見られるようになった。 ・以上の結果から、生後発達に伴い伝達物質の放出確率が減少することで脱感作がかかりにくくなると同時にGluR1が減少して脱感作からの回復時間が早くなることでシナプス抑圧が減少することが明らかとなった。
|