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2005 年度 実績報告書

神経終末端の膜電位変化によるシナプス伝達修飾機構

研究課題

研究課題/領域番号 17700366
研究機関東京大学

研究代表者

堀 哲也  東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70396703)

キーワード神経生理学 / ニューロン / シナプス / 神経終末端 / 細胞内Ca
研究概要

シナプス前末端の膜電位と活動電位の振幅が伝達効率に及ぼす効果
平成17年度は、シナプス前末端の膜電位と活動電位の振幅が伝達効率に及ぼす効果について、以下の研究を行った。
方法:ラットの脳幹横断スライスを作成し(教室備品:スライサー)、シナプス後細胞と巨大シナプス前末端calyx of Heldを水浸対物レンズ(X63)によって直視下同定の後電気生理学的記録を行った(備品:正立微分干渉顕微鏡)。シナプス後細胞と前末端から同時ホールセル記録を行い(備品:パッチクランプ増幅器)、前末端に活動電位を誘発し、後細胞からEPSCを記録した。EPSCの振幅をシナプス伝達効率の指標とした。
1.シナプス前末端活動電位の振幅がシナプス伝達効率に及ぼす効果:
灌流液に低濃度のテトロドトキシンを加えて活動電位の振幅を減少させ活動電位の振幅とEPSCの振幅の関係を明らかにする研究を行った。活動電位の振幅の減少が弱いとEPSCは変化せず、活動電位の減少が0mVを超えるとEPSCが減少することを明らかにした。
2.シナプス前末端の膜電位変化がシナプス伝達効率に及ぼす効果:
シナプス前末端に電流を注入、または様々なK濃度の灌流液を投与することにより膜電位を系統的に変化させ、EPSCの振幅およびシナプス前末端活動電位の振幅を計測した。電流の注入、高K濃度溶液投与のどちらの方法でも、前終末を脱分極するとEPSCは増強した。また、前終末を-55mVより強く脱分極すると、活動電位の振幅が現弱し、それにともなってEPSCが減少した。シナプス前終末の課分極は、シナプス伝達効率変化を引き起こさなかった。
3.シナプス前末端膜電位変化による前末端細胞内Ca濃度変化と、電位依存性Ca電流の修飾:
ホールセルピペットからCa指示薬をシナプス前末端に注入しCa測光を行った(教室間共有備品:多光子レーザー顕微鏡)。静止膜電位に近い10mV程度の脱分極で、前終末内Ca濃度の上昇が観測された。前終末Ca濃度上昇に伴って、電位依存性Ca電流の増強が観測された。
4.P/Q型Caチャネル欠損マウスを用いた、シナプス伝達効率変化に対する電位依存性Ca電流増強の寄与の検証:
P/Q型Caチャネル欠損マウス脳幹スライスより、電位依存性Ca電流とEPSCを記録した。欠損マウスでは、電位依存性Ca電流の増強は観測されず、前終末脱分極によるEPSC増強の程度が通常動物に比べ著しく弱いことが確認された。

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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