研究の目的 顕微鏡下で細胞を直接取り扱う方法として、これまでは主に機械式マニピュレータやレーザーマニピュレーション技術が利用されてきた。これらの技術にあわせて、新たに確認されたフェムト秒レーザー誘起衝撃波を用いることで、既存の二つの技術が細胞操作においてより理想的な技術となる可能性を示唆している。本研究では、顕微鏡下で異なる力の大きさを持つ三つの手法の組み合わせで、必要とする力に応じた正確で確実な細胞操作技術の確立し、実用化に繋げる。 今年度実績 初年度に作製した細胞融合チップを用いて、実際にソバの雌雄細胞を単離し、人工授精に成功した。また、生細胞への異種体導入実験に成功した。開発した細胞操作プロセスを利用し、細胞チップ作製技術を応用した実用化開発をおこなった。細胞分取1チップシステム量産用プロットタイプ製品の試作に成功した。顕微鏡下で任意的な細胞パターンの作製に成功し、セルチップの試作品を作製した。顕微鏡下で使用する完全無菌操作可能な1チップ細胞融合用システムの構築に成功した 本研究の成果 顕微鏡下において、異なる力の大きさを持つ三つの手法を自由に操ることができたレーザー顕微鏡システムを構築した。このシステムを使って細胞選別、細胞融合、植物人工授精、細胞配列などの細胞操作を実現した。開発成果、技術ノウハウは多彩な細胞操作デバイス、細胞チップ等の工業製品につながることを示した。 今後の展開 本研究の開発成果、研究ノウハウの権利化および商品化の検討を行う。また、自らベンチャー企業を立ち上げ、協力研究者、企業等とともに、得られた成果(特許、ノウハウ)の実用化、産業化を目指す。
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