研究課題
主要薬物送達システム的アプローチにより、臨床応用可能な絶対安全性無侵襲遺伝子治療を目指し、細胞内への遺伝子取込過程における局所pH変化に焦点を合わせた、pHに応答してナノ構造を転移させる新規非ウイルス性遺伝子キャリアーの創製を目指した。初年度の本年は新規pH応答性生体高分子の合成を行い、得られた生体高分子と遺伝子との複合体形成機能評価を行なった。とりわけ、新規pH応答性生体高分子アミノ化ポリヒスチジン(PLH-NH_2)とラクトース化ポリリジン(PLL-Lac)とDNAとの三元複合体化を試みた。PLH-NH_2とラクトース化ポリリジン(PLL-Lac)をDNAと種々の比率で混合し、異なるpH条件下においてアガロースゲル電気泳動を行った。この時、PLL-LacにFITCラベルを施し、pH応答的なPLL-Lacの解離現象を検討した。電荷比([amino]/[phosphate])が共に5のDNA/PLH-NH_2/PLL-Lac混合系は、pH7.5におけるDNA由来の非泳動バンドがpH6.0において消失した。PLH-NH_2のpH応答的物性がDNA複合体の集合構造を変化させたと考えられる。エチジウムブロマイド非存在下で同様の実験を行うと、pH7.5においてFITCラベル化PLL-Lacは泳動されなかったのに対し、pH6.0においては負極方向への泳動が確認された。これらの結果は、pHの低下に伴いDNA/PLH-NH_2/PLL-Lac三元複合体からPLL-Lacが解離し、DNA/PLH-NH_2二元複合体が生じたことを示唆するものである。標的部位到達後に機能する必要のないリガンド分子(PLL-Lac)を解離させ、pH応答性高分子(PLH-NH_2)のpH応答的物性変化を最大限発揮させ得る新しいDNA複合体の設計概念になると考えられる。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
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