昨年度までに、改造液晶プロジェクタを利用したマイクロパターンおよびポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)製マイクロ流路を作製するための条件の最適化、その応用を行った。今年度は、より実用的なマイクロ流路の作製を可能とするために、XY軸ステージを利用してサンプル台平面位置を制御し、大面積にわたるマイクロパターンの露光、およびそのパターンをモールドとしたマイクロ流路の作製を検討した。g線ネガ型フォトレジストをスピンコート、プレベイクしたカバーガラスをサンプル台の上に載せ、液晶プロジェクタからのパターン可視光を2分間照射した後、XY軸ステージでサンプル台を移動させ、繰り返し露光を行った。このカバーガラスをポストベイク、現像し、マイクロ流路のマスターを作製した。PC画面上でマスクイメージを12分割して、XY軸ステージで精密にサンプル台を動かしながら12回露光することで、より大きな面積のマイクロパターンを得た。マスクイメージを分割露光した境界線を顕微鏡により観察し、分断あるいは極端なズレがないことを確認した。このマスターの上に流し込んだPDMSプレポリマーを熱硬化・剥離し、カバーガラス上に載せ、PDMS製マイクロ流路を得た。流路内部に液体を満たし、漏れのないマイクロ流路を作製することを確認した。この手法を用いることで、マイクロ流路が集積された、より実用的なチップの設計・作製への応用が期待される。
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