研究概要 |
神経細胞の活動電位分布を液晶の電気光学効果を直接用いて光学的に直接観測する技術を確立することが最終的な目的であり,平成18年度はこの目的の達成に向けての基礎研究を行ってまいりました.その研究実績の概要を実施計画に対応させて次の通り報告いたします. 1.実施計画:「神経細胞を液晶膜上で培養し,電気光学効果を観測する.」 研究実績:住友べークライトが提供する培養神経細胞キットを購入し,安定に神経細胞を培養する技術を得ることが出来ました.しかし,液晶膜上で神経細胞を培養する技術の確立には至っておらず現在実験を行っている途中です. 2.実施計画:「従来のマイクロ電極を細胞に刺入し,膜電位を測定する.」 研究実績:培養神経細胞の膜電位を微小ガラス電極で測定することに成功しました.さらに線維芽細胞や筋芽細胞の膜電位も測定し,細胞の種類によって膜電位が異なることを実験によって確認しました. 3.実施計画以外の追加的研究実績 (1)神経細胞の活動電位発生に伴い細胞外に生じる電位分布の変化を理論解析し,擬似神経細胞を使った実験によって検証しました.本研究課題の研究が進めば,擬似神経ではなく本物の神経細胞による検証実験が可能となります. (2)水との混合によって液晶性を示すコレステリック液晶のなかで生体由来であるヒドロキシプロピルセルロースの電気光学効果について調べました.本研究課題で主に使用しているサーモトロピック液晶に比べて生体適合性がよい液晶の電気光学特性を調べることで,最適な液晶材料の検討に役立ちます. (3)強誘電性液晶薄膜の電気光学効果について理論解析を行いました.強誘電性液晶は層構造を有するとともに電界応答感度が極めて高いため,本研究課題で使用することが期待できる材料の一つであり,最適な液晶材料の検討に役立ちます.
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