1.孵化期のニワトリ胚における特異な心拍ゆらぎの成因解明 死亡胚の死亡直前に見られた一拍動ごとに心拍数が増減する現象は低酸素症に起因すると仮説を立てた。そこで、本年度はこれを検証するために孵化後17日令からのニワトリ卵の心拍数を15%低酸素環境で孵化するか死亡するまで連続に計測した。その結果、どの日令においても死亡した胚ではこの特異な心拍ゆらぎパターンが見られたことから低酸素症に起因している可能性が非常に強くなった。来年度はこれが「低酸素症」だからこそ起きたのか、他の死因でも「死亡」する胚では見られるのかを検証し、本テーマを完結させる予定である。本成果は電気・情報関係学会北海道支部大会で発表した。 2.ニワトリ孵卵後期胚における回転刺激による心拍ゆらぎへの影響評価 鶏卵の呼吸器官である絨毛尿膜の発達には回転刺激が必要な刺激の一つとも言われている。本研究ではある程度胚が大きくなってからの、13日令〜孵化する21日令までのニワトリ後期胚において回転刺激が心拍ゆらぎに及ぼす影響を調べた。1日1時間、5rpmの回転刺激を毎日与えた場合、回転刺激を受けて心拍数が減少することがわかった。しかしながら、若い胚の方がその減少量が少なく、そして元のレベルまで回復する時間が短い。このことは生理器官がより成長した方が回転刺激を受ける事を示唆している。カラザによる回転刺激への対策は孵卵初期ではなく、むしろ解卵後期に必要であることがわかった。本年度は実験による結果を得られたので、来年度以降、種々の手法で解析していく。 本成果は電気・情報関係学会北海道支部大会で発表した。
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