1)乳腺組織標本におけるがん細胞と正常乳腺細胞の判別画像処理技術の研究 ホルモンレセプター検査では乳腺の病理標本上で、乳がん細胞と正常乳腺細胞を分別し、計測対象を限定化することが必要である。昨年度の研究においては面積による計測が有効であったが一部の症例において誤差が大きかった。そのため、より腫瘍部位を特定化するため、RGB分解後の2値化画像において画像を一定のピクセル値ごとに分割し、各分割画像で一定以上の割合を示す画像のみを計測対象として計測するようアルゴリズムに改良を加えた。その結果、誤差の収束傾向が認められ、本手法が有効であることが明らかとなった。 2)乳腺組織標本における乳腺細胞と他の細胞の判別画像処理技術の研究 乳腺組織内には乳腺細胞の他、白血球や間質細胞等の測定対象外の細胞も存在することから、これらの細胞について除外するためのアルゴリズムを研究を行った。その結果、乳癌の硬癌では間質細胞に混在するため、明確な判定は困難であることが明らかとなった。そのため、初期のHEでの組織診断結果から本判別アルゴリズムの利用の有無を分岐させ、半マニュアルモードで計測エリアを指定可能とするアルゴリズムへと改良した。 3)ホルモンレセプター定量化画像処理技術の研究 誤差範囲は1%以下となることを目標として陽性カラーを直接画像認識することでアルゴリズムの改善を図ることとした。判別画像処理技術との組み合わせの結果、本アルゴリズムによって得られたデータは従来のマニュアル法でのALLRED分類との比較において誤差5%以内となった。
|