研究課題
本研究は乳腺腫瘍における病理免疫染色標本ホルモンレセプター検査での自動定量化を目的として、病理標本中のエストロゲンレセプターおよびプロゲステロンレセプター陽性がん細胞の定量化のための画像処理技術の研究と、用手法と本自動化法との総合評価を過去の患者症例を基に実証評価を実施した。その結果、組織標本中の細胞核の認識率は99%と向上したほか、染色法と撮影方法の改善により陽性・陰性細胞の誤認識率も5%以下とすることを達成した。実証評価においては現在病理学会等において標準的に使用されているALLREDスコア法との比較を行った。しかしながら従来の用手法では同一標本であっても染色性によって判定のばらつきが多く、必ずしも本自動化法との相関は得られなかった。そのため、今後はMass分析など他の客観的なタンパク分析手法やReal time PCR法によるmRNA定量化技術などを取り入れ、本自動化法との相関性を検証するとともに、本自動化法をスタンダード化する必要がある。現在病理検査においては、これらの病理標本を完全に電子化(バーチャルスライド化)し、より客観性の高い診断基準化が進められている。すでに米国においては当該画像の応用化として乳腺腫瘍におけるHER2検査の画像解析診断についての研究開発がなされ、FDAによる承認も行われ、今後画像解析による自動診断化が重要化すると考えられる。本研究成果においても、バーチャルスライド化技術で得られた画像に対して適用することにより、従来に比較して多くの情報量を得、客観性の高い数値データを提供することが可能となることから今後ハードウェアへの組み込み技術化が求められる。
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