研究概要 |
本研究では,赤血球の変形能計測を行うために,せん断応力負荷下における赤血球の形状変化と赤血球の変形性低下について検討を行っている. 赤血球へのせん断応力負荷やその時の形状変化は,平行-平板で構成させる流路内での振動的な流れ場で観察を行った.また,流れ場は,周期的であるがクエットな流れが実現できるRe数として設計された. 均一な流れ場における赤血球(楕円形状)の光散乱現象については,数値シミュレーション,in-vitro実験では,顕微鏡下におけるせん断応力の負荷による赤血球の時系列的な赤血球の形状を計測した. 数値解析では,赤血球の楕円形形状の長軸比がおよぼす光散乱の現象については,FDTD(Finite Difference Time Domain : FDTD)法で,まずは2次元平面での散乱現象について検討を行った.解析は,入射波長1000nm,散乱体の大きさは,ウシの赤血球と同体積(30μm^3)として,長短軸比が3.4〜26.6の楕円体における光散乱特性の解析を行った.その結果,散乱角60〜110度の間で,各形状の散乱光強度変化の違い確認することができた. In-vitro実験では,クエット流れ場における赤血球のせん断応力負荷時間と赤血球の形状変化の観察実験では,せん断応力負荷時間の増加に伴い,周囲流れ場時間変化に対する赤血球の追従速度が低下していくことが観察された. 以上から,平行-平板間の流れ場にある赤血球の形状変化を光学的に観察するには,赤血球の側方散乱光を計測することが有効であると示唆された.さらには,周期的なせん断応力が加わることにより.赤血球の形態が楕円体から,球形に変形していくことが確認された.
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