研究概要 |
心不全(LVAD)・呼吸不全患者に対する持続的電気刺激の影響 これまでの研究から健常者同様、電気刺激施行中大きな問題はなく、電気刺激の安全性は心不全患者に対しても確認できた。 今回は左室補助装置(LVAD)装着患者を含めた心不全患者を集めた。まず当科にて約一ヶ月程度のリハビリテーションを行い、機能的にプラトーで有ることを確認したのちに骨格筋電気刺激療法の効果について電気刺激前後で比較検討した。検討項目は、筋力評価・運動耐容能評価・血流評価である。電気刺激は、両側大腿直筋、下腿三頭筋に対して行った。刺激条件は、10Hz、20秒のon-off、方形波、200ミリ秒に設定した。刺激強度は被験者が認容可能な最大レベルとした。刺激時間は60分間とし、この電気刺激を1日1回、1週間に5日間、計4週間で施行した。 その結果、LVAD患者に対する電気刺激により筋力。血流には大きな変化を認めなかったが、組織酸素含有量が約3倍増加した。当初懸念された痙痛や筋疲労の自覚症状や、ペースメーカーを含めた補助装置に対する悪影響は認めなかった。一方LVAD非装着心不全患者では、筋力、運動耐容能、血流とも20%,以上の改善を認めた。したがって心不全に対する骨格筋電気刺激療法の効果とその安全性の確認ができた。このことはすでに平成18・19年度日本リハビリテーション医学会雑誌に発表した。 さらに同様の電気刺激療法を呼吸不全患者対象に開始した。結果、電気刺激施行中大きな問題はなく、電気刺激の安全性は呼吸不全患者に対しても確認できた。効果の評価は刺激開始1ヶ月後に行う予定である。そこで出た結果は、平成19年度の日本リハビリテーション学会雑誌やProceedings of the 4th World Congress of the International Society of Physical and Rehabilitation Medicineで発表する予定である。
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