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2006 年度 実績報告書

筋萎縮および筋損傷の修復・再生メカニズムの解明と伸張刺激の効果に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17700444
研究機関名古屋学院大学

研究代表者

松原 貴子  名古屋学院大学, 人間健康学部, 講師 (30294234)

キーワード筋損傷 / 慢性痛 / 炎症 / 筋萎縮 / 不活動(disuse) / 再生 / 修復 / リハビリテーション
研究概要

骨格筋は非常に再生能力の高い組織である。しかし,一側腓腹筋へのLPS(lipopolysaccharide ; L)と高張食塩水(H)の複合投与(LH)による筋障害性慢性痛症モデル動物では,足底のvon Freyテスト(VFT)により,長期にわたる足底の痛み行動亢進を示す。一方,このモデルにおいて急性期坐骨神経ブロック処置によりその長期亢進は減弱傾向を示し,LやHの単体投与,針刺しのみでは痛み行動長期亢進はみられないことが明らかとなった。次に,種々の刺激によってさまざまな痛み行動パターンを示す筋障害性モデル動物を用いて,痛み行動と末梢障害筋の傷害・再生プロセスとの関係を組織学的に検討した。adult SDラットの一側腓腹筋に2μg/kgのL投与24時間後にH(100μl×5回,90分間隔)を投与(LH群),LH処置1日後に坐骨神経ブロック処置(LH-B群;長期痛み行動亢進が減弱),Lのみ投与(L群;長期痛み行動亢進なし),生理食塩水(S)投与24時間後にH投与(SH群;長期痛み行動亢進なし),Sのみ投与(SS群;長期痛み行動亢進なし)し,1,3,7,14日後(急性期)と6,16週後(慢性期)に未固定の下腿三頭筋を取り出して凍結切片を作成しH-E染色後に光学顕微鏡で検鏡した。その結果,投与後6,16週目ではLH群だけに両側の痛み行動亢進が持続していたが,処置側のみに一般的には痛みを生じないとされる再生像(大小不同の中心核線維)を示した。その所見は痛み行動の亢進減弱を示すLH-B群でも同様であった。急性期では,L群,SH群,SS群に局所的な炎症がみられ,LH群では著明な浮腫と広範な筋線維壊死に至る炎症増強がみられた。また,急性,慢性期ともすべての群で対側筋や同側異名筋には組織学的変化がみられなかった。つまり,1)長期的な痛み行動亢進の有無に関わらず慢性期の障害筋組織像に違いが認められなかった(いずれも筋は再生に至っていた),2)両側の痛み行動亢進が生じたにもかかわらず,一側の筋組織変化しかみられなかったことから,慢性期の痛み行動亢進は末梢障害筋からの直接的なシグナルによって起こっているものではないことが示唆された。しかし,筋障害が慢性的な痛み行動を誘起するきっかけとなったことは確かであるため,傷害急性期の炎症部位から発せられるメッセンジャーとなるべき物質がトリガーとなり,何らかの中枢機序が関与して慢性痛を引き起こしたと考えられる。現在,不活動後の筋再生メカニズムの解析についても組織学的に検討をすすめている。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (9件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 筋障害性慢性痛症モデル動物の慢性痛には障害筋からの直接的なシグナルは関与しない2007

    • 著者名/発表者名
      松原貴子
    • 雑誌名

      理学療法学 34・2(印刷中)

  • [雑誌論文] 筋障害性慢性痛症モデル動物における筋の組織像2007

    • 著者名/発表者名
      松原貴子
    • 雑誌名

      痛みの分子機構と治療戦略研究会(生理学研究所研究会)

      ページ: 8

  • [雑誌論文] 後肢懸垂マウスにおける伸張位固定と短縮位固定の違いが筋萎縮に及ぼす影響2007

    • 著者名/発表者名
      藤田直人
    • 雑誌名

      理学療法学 34・2(印刷中)

  • [雑誌論文] 磁気刺激の時期の違いが末梢神経の再生に及ぼす影響2007

    • 著者名/発表者名
      藤本太郎
    • 雑誌名

      理学療法学 34・2(印刷中)

  • [雑誌論文] 遅発性筋痛における筋スティフネス上昇と機械的痛覚閾値低下に関連性はあるか?2007

    • 著者名/発表者名
      大鶴直史
    • 雑誌名

      理学療法学 34・2(印刷中)

  • [雑誌論文] Repairing process in the transected muscle fibers of the mouse tibialis anterior.2006

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto M
    • 雑誌名

      JJPTA 9(印刷中)

  • [雑誌論文] The effect of exercise and heat stress before hindlimb suspension on prevention of the skeletal muscle atrophy.2006

    • 著者名/発表者名
      Tasaki H
    • 雑誌名

      Bull. Allied Med. Sci. Kobe 20(投稿中)

  • [雑誌論文] 痛覚過敏と廃用性筋萎縮に対する温熱刺激の先取り効果について2006

    • 著者名/発表者名
      田崎洋光
    • 雑誌名

      理学療法学 33・2

      ページ: 300

  • [雑誌論文] 振動刺激が遅発性筋痛に及ぼす影響2006

    • 著者名/発表者名
      村上恵津子
    • 雑誌名

      理学療法学 33・2

      ページ: 91

  • [図書] 第1章慢性痛のメカニズム,第9節学際的痛みセンター. 理学療法MOOK 疼痛の理学療法-慢性痛の理解第2版(鈴木重行(編))2007

    • 著者名/発表者名
      松原貴子
    • 出版者
      三輪書店(印刷中)
  • [図書] 慢性痛へのアプローチ-動いて良いのか悪いのか?筋と痛み.痛みのケア・アップデート(熊澤孝朗(監・編)2006

    • 著者名/発表者名
      松原貴子
    • 総ページ数
      109-126
    • 出版者
      照林社
  • [図書] 外科領域のリハビリテーション 5.四肢挫滅創のリハビリテーション.外科領域リハビリテーション最新マニュアル(宇佐美眞(編))2006

    • 著者名/発表者名
      松原貴子
    • 総ページ数
      57-63
    • 出版者
      協同医書出版社

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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