研究概要 |
日常の生活において我々は一定のリズムで歩くことよりも、頻繁に止まったり、歩き始めたりなどのいわゆる過渡歩行を多用する。したがって、リハビリテーション応用を日的とした歩行研究においては、これらの過渡歩行に関する研究も重要であると考え,解析を中心に研究を行ってきた。その結果,本補助金申請時点で,過渡歩行パラメータが下肢機能レベルと関連があることが示された。 本研究では以上の点をふまえて,(1)引き続き,転倒を含めた身体能力と過渡歩行および足指把持力との関連性を示すデータの収集・解析,(2)床反力計を用いて作用点変動をリアルタイムに計測し,提示できるソフトウェアの開発,(3)理学療法士や医師の意見を元に,訓練システムの訓練プログラムの開発,(4)システムの評価と,訓練システムの効果の検証,を行う予定である。 本年度は(1)および(2)を中心に実施した。(1)においては,下肢障害者の一例として股関節疾患者のデータを測定した。歩行開始および通常歩行の2種類の床反力データを測定し,同時に身体各部の座標データ,大腿部の筋電データを測定した。被験者数は3月31日時点でのべ13人で,今後もデータ収集を続ける予定である。次年度中旬までに30名程度を予定している。また,歩行能力の解析を行うために,得られたデータから関節モーメントを計算する準備を整えた。現在,得られたデータの解析を鋭意行っている。(2)については,床反力計の出力から作用点をリアルタイムに表宗するソフトウェアを試作した。タッチパネルディスプレイと組み合わせて,訓練者の手元で操作できるように工夫しており,今後は,ゲーム性を持った訓練プログラムの開発などを課題としている。また,足指把握力の測定のために,測定装置ならびに測定ソフトウェアを製作した。(3)については,具体的な訓練システムが完成していないため,訓練システムを前提とした意見交換は行っていないが,被験者実験などを通じて,リハビリテーションなどに関する意見交換を随時行っている。
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