研究概要 |
本研究の主たる目的は、非利き手による箸操作の訓練開始より日常生活での実用に至る過程において、訓練手の動作的機能の熟練度と対象者が感じる心理的ストレスの変化を測定し、機能面の完成と心理面の完成の時間的関連を明らかにすることである。 現在の研究の進行状況は予備的研究I-IIの移行段階であり、正常対象者における非利き手箸操作に箸動作プロトコールの作成途中である。 健常若年者30名を対象にし、非利き手箸操作時のストレスを(1)利き手調査(2)心電図計測、(3)質問紙法の実施、(4)患者情報の聴取;年齢・性別・教育歴などの問診、等の調査項目を用いて行なっている。調査項目(2)については、生体信号計測用小型ポリグラフ・テレメータを使用。データ解析には、全自動循環動態・自律神経系活性ツールを用いる。(3)については自覚症調べを用いる。 安静時、利き手動作時、非利き手動作時の比較において(2)は副交感神経系の優位さを表すHF/total, LF/HFともに安静-非利き手動作時に非利き手において有意差が認められたが、安静時-利き手動作時、利き手-非利き手動作間では認められなかった、非利き手動作時の副交感神経系が優位であった。(3)の指標については自覚調べにおいては合計点が非利き手群において有意に高く認められた。自覚症調べより、非利き手動作時に主観的な疲労感が高かったとの結果が出たにもかかわらず、副交感神経系が優位となることを明らかにした。この現象は非利き手動作時は利き手動作時より注意集中が必要で呼吸数が減少したことが原因ではないかと推測している。
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