研究概要 |
はじめに:Silent aspirationを否定し、安全に摂食を行なうためには、喉頭感覚と反射的咳嗽力の定量的評価が必要である。今回指標の基準値を作成するためにクエン酸溶液のネブライザーを使用し、健常人を対象に喉頭感覚および反射的咳嗽力の測定を行った。 対象と方法:嚥下障害および呼吸機能障害を有さない健常成人25名を対象とした。平均年齢31.8±9.4歳であった。%VCは、平均95.6±9.6%であり、1秒率は、平均91.4±5.3%であった。随意的咳嗽のPCFを測定した。2%,5%,10%,15%,20%,30%のクエン酸溶液を準備し、それぞれを1から6の番号を記載したネブライザーチャンバーに、クエン酸濃度と無関係にランダムに入れた。封筒法でクエン酸溶液の吸入を施行した。5回咳嗽を生じた時点で終了とし、その時のpeak cough flowを測定した。咳嗽を生じない場合は、30秒吸入を行なった時点で終了とした。日商式エアコンプレッサーを使用し、ジェット式ネブライザーであるSalter labsのREF8900を用いた。Peak cough flow meterとして随意的咳嗽には、assessのfull rangeを使用し、反射的咳漱にはlow rangeを用いた。 結果:クエン酸溶液15%以上では全例の25人が咳嗽を誘発された。初発の反射的咳嗽は10%以下で全例生じていた。反射的咳嗽のpeak cough flowは、反射的咳嗽を生じた被験者のpeak cough flowの値のみを使用した。随意的咳嗽のpeak cough flowは、428±134L/minであり、反射的咳嗽のpeak cough flowより有意に大きかった。反射的咳嗽のpeak cough flowは、濃度間で有意差は認めなかった。
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