本研究は日本の消化器心身症患者に対する作業療法効果として、心理学的効果のみならず、脳機能を含む生理学機能の変化を検討し、作業療法介入方法を確立することを目的としている。確立した作業療法介入方法による消化器心身症患者に対する治療を試み、その効果を検証する。 平成17年度は消化器心身症(過敏性腸症候群、Irritable Bowel Syndrome : IBS)に対する心療内科治療、心理療法、リハビリテーションについて調査し、詳細な作業療法介入法を作成した。作業療法介入法は治療時間およそ60分間のパッケージとし、1)性格傾向・興味関心チェック(活動内容決定)、2)骨格筋ストレッチ(リラクセーション)、3)腰部体操、4)手工芸、陶芸等とした。 調査対象は成人大学生315名から、IBS質問紙ならびに心理質問紙によってIBS症状をもつ15名(男性7名、女性8名)を抽出した。対照群として年齢と性別をあわせた30名に協力を依頼した。作業療法介入に先立ち、消化器心身症質問紙(IBS質問紙)、心理質問紙、大脳皮質血流量計測機器、唾液中クロモグラニンA試薬を使用してストレス反応の調査を実施した。対象者全員に対し、電気刺激による腹部知覚閾値を測定した。研究参加者全員に口頭と書類による研究実施についての詳細な説明を行い、同意を得た。本研究は新潟医療福祉大学倫理委員会により研究倫理審査を受け、承認を得た。 本研究調査による20歳代のIBS有病率は17.7%であった。電気刺激による腹部知覚閾値はIBS群が対照群に比べ有意に低かった。ストレス反応として作業療法中の局所脳血流量、クロモグラニンA、心理検査のデータは平成18年度に解析し、発表する。IBSに対する作業療法介入は平成18年8月より実施する。
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