研究概要 |
今年度の目標は,10〜70歳代の健常者に対して,頭部外傷者のためのQOL評価であるCommunity Integration Questionnaire (CIQ)を実施し,できるだけ多くのデータを収集して,頭部外傷(TBI)患者のデータと比較する準備をすることであった. まず,健常者向けのアンケート用紙を作成した.その際,既存の標準化されているQOL評価法(SR-FAI)と組み合わせて回答を得るよう配慮することで,CIQ使用の妥当性を検討できるようにした. アンケート調査は,10月〜11月の愛知県豊明市・大府市の地域イべント会場にて行った,事前研修を受けた学生アルバイト調査員が,会場内で来場者を対象に直接対面式の調査を行い,データの収集に当たった.回答者からは調査に参加するにあたり同意書を得て,アンケートに回答に対する謝礼を渡した. 結果として,780名の有効回答が得られた.マンパワーと時間的制約を考慮し,各年代とも100人以上のデータが集まったことから,当初の目標数(1000名)にはやや満たないものの,これらのデータをもって健常者のデータとして扱い,傾向の分析を開始することとした. 得られたデータは,データべースに蓄積し,現在統計処理を行っている.内容的には,欧米での研究報告と合致するところが多いが,日本人のライフスタイルを反映して,年代ごとの特徴があらわれていると考える. 来年度の準備として,TBI患者のデータを収集するため,TBI患者用のアンケート用紙の内容を検討している.TBI患者のデータを収集するに当たっては,松阪中央総合病院の協力を得られることになり,現在データ収集の段取りなどの打ち合わせを開始した.
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