平成17年度の主な研究内容は、基礎資料の収集及び理論的枠組みの構築であった。 1.教育キャンプ指導者のメタ認知機能に関する文献レビュー及び予備的討論 (1)一般的なメタ認知機能の分類・整理 「メタ認知」の近接・類似概念として「認知の自己調整」や「内観」をあげることができる。メタ認知的な機能は比較的古くから議論されてきた。概念規定に関する研究者間の共通傾向として、認知に関する知識的側面とコントロールなどの活動的側面に分類される。本研究では、諸説を要約・代表しているFlavell(1987)の分類を採用した:メタ認知とはメタ認知的知識とメタ認知的活動からなる。メタ認知知識は人・課題・方略の3変数における認知関連の知識であり、人変数に関しては、個人内・個人間・一般的な人の3変数がある。他方、メタ認知活動は認知を対象にしたモニタリング・コントロールである。 また、このレビューにより研究期間に対する内容の妥当性が検討され、予定通り「メタ認知知識」に特化して研究が実施される。 (2)教育キャンプ指導者におけるメタ認知知識の項目化 自然環境下での実施を想定した教育キャンプについて、指導場面におけるメタ認知知識の具体的な提示を試みた。まず、レビューによりキャンプ指導関連の文献が抽出・検討された。項目化にあたり、指導場面の想起には土方(2004)の15カテゴリーに及ぶ指導技術モデルが参照された。一般的なメタ認知知識を具体的な指導場面に反映させることに留意しながら項目化を試みている。 2.教育キャンプ指導者のメタ認知知識に関する調査(これからの展開) 教育キャンプ指導者のメタ認知機能に関する理論構築手続きとして、指導者を対象にした社会調査を実施する。指導場面に即したメタ認知知識について分類・整理し、項目の体系化を試みる。
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