活動後増強による筋疲労の遅延効果を明らかにするため、本年度は基準値を得るために等尺性最大随意収縮(MVC)の60%の負荷強度を用いて、6秒収縮、4秒弛緩の運動をその強度が継続できなくなるまで実施し、運動中と運動終了2秒後に神経筋機能に如何なる影響を及ぼすかについて検討した。健康な成人男性9名を対象とし、前脛骨筋から筋収縮中の筋電図(Electromyogram:EMG)と筋音図(Mechanomyogram:MMG)を導出した。また、弛緩中に総腓骨神経に単一矩形波の最大上の電気刺激を加え足関節背屈張力を記録した。電気刺激により得られる張力の解析、筋音図を用いた機械的活動(振幅)の解析、筋電図を用いた電気的活動(M波)の解析を実施した。その結果、60%MVCの負荷強度で平均46(±13)回の反復実施ができた。活動後増強の影響により、単収縮張力の増強が観察されたものの、全反復回数の中間点ではその効果は減少し、最終点では有意に減少した。運動終了後2秒後においても減少し続けた。単収縮の1/2弛緩時間は、中間点、最終点、および運動後2秒後に延長がみられた。一方、MMGの振幅は、中間点で有意に増加したが、最終点と運動後2秒後にはその効果は消滅した。60%MVC中のEMGの平均振幅は、運動終了まで直線的に増加した。一方、MMGの平均振幅は、中間点までは有意な増加が認められなかったものの、最終点では顕著な増加が認められた。さらに今後は、負荷強度を変えて検討を行う予定である。
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