最大下運動に対する筋疲労の影響の低い後期高齢男性10名および健康な成人男性10名を対象とし、活動後増強の影響を明らかにすることを目的とした。等尺性足関節背屈最大筋力(MVC)を10秒間最大努力で発揮し、その2秒前後に、腓骨神経に単発矩形波の超最大電気刺激を加え、単収縮(Pt)、前脛骨筋から筋電図(EMG:M波)および筋音図(MMG:p-pMMG)を記録した。また、4秒間の20%、40%、60%、80%、100%MVCを実施し、その時のEMGおよびMMGの平均振幅(RMS-EMG・RMS-MMG)を算出し、トルクとRMS-EMGおよびRMS-MMGとの関係を分析し、相対負荷の異なる筋力発揮中のそれらが後期高齢者と若者で一致するかを確認した。その結果、両群ともPtおよびMMGは増加したが、M波には変化が見られなかった。二元配置分散分析法(Age(2)×Time(2))によりPtには有意な交互作用が認められたもののp-pMMGには認められなかった。また、二元配置分散分析法(Age(2)×Torque(5))により、RMS-EMGおよびRMS-MMGに有意な交互作用が認められなかった。以上の結果から、後期高齢者においても活動後増強は観察されるが若者よりも増加率が低く、その要因は筋の機械的な要因の指標となるMMGでは説明がつかないことが示された。相対負荷に対する随意収縮中の神経-筋活動の指標となるRMS-EMGと筋の機械的な要因の指標となるRMS-MMGには、後期高齢者と若者とで違いがないことが認められた。
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