研究概要 |
パソコン画面の要求値に筋力発揮値を合わせる形式の筋力発揮調整能測定装置を用いて、1.上肢で開発した規則的移動指標を応用し、発揮要求値の強度を変化させるソフト(疑似ランダム波形)の作成・検討、2.下肢の筋力発揮調整能測定装置の作成を行った。以下のような知見が得られた。 1.(1)平均周波数0.01,0.05,0.07,および0.09Hzの疑似ランダム波形表示において日間測定値の級内相関係数(ICCs)は低〜中程度であった(ICC=.37,ICC=.73,ICC=.57,ICC=.57)。(2)疑似ランダム波形表示の日間測定値のlimits of agreementはそれぞれ-169.6〜339.8%、-137.9〜274.6%、-106.8〜261.7%、および-137.8〜223.3%であった。(3)the repeatability coefficientsはそれぞれ300.7%、242.8%、236.2%、および196.2%であった。(4)全ての疑似ランダム波形表示において日間測定値のtテストは有意な改善を示した。(5)各テスト間のlimits of agreementは比較的広かった。つまり、力の応答が視覚的に補助されるこれらのテストは上肢の筋力発揮調整能を客観的に捉えうる有効なテストであり、そのソフトは下肢の場合にも応用可能と推測された。また、疑似ランダム波形を用いた筋力発揮調整能測定値の加齢に伴う変化および個人差は規則的移動指標を用いた場合とほぼ同程度と推測された。2.本測定装置は、座位脚伸展動作(等尺性および等張性運動)での最大筋力測定や一定負荷のもとでの下肢の筋力発揮調整能(発揮パワー)を測定する機能を持ち、併せてトレーニングやリハビリ用としても正確な負荷設定を可能にするものと考えられた。
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