本年度の研究は、子どものための運動遊びプログラムに保護者の養育力を高める要素を加え、「保護者の育ちを含めた運動遊びプログラム」の効果を検討することを目的として行った。 具体的には、子どもと保護者がともに遊ぶプログラムの実施、保護者への勉強会の開催、ニュースレター、およびウェッブサイトを媒介とした運動遊びプログラムに関する情報の提供を行った。上記に示した活動を通して「子どもの運動遊びプログラムでの様子」、「運動遊びプログラムの意味」、「運動遊びプログラムの経験を自宅での遊びにどのように繋げることができるか」について保護者の理解を促し、保護者の養育力を高めることを目指した。 ニュースレターおよびウェッブサイトを通して提供した情報が、どの程度保護者の養育力に影響を与えているかについて検討を行うため、プログラム実施終了後に保護者を対象とした質問紙調査を実施した。結果として、これらの情報提供は保護者にとって「子どもに外遊びを勧めるのに役立つ」ものであり、「子どもの身体活動の重要性に考えるきっかけ」として作用し、「子どもと一緒に外遊びを行う際の参考になる」といった効果の認められることが明らかになった。 今回の研究では、研究の一環として行われた情報提供が、保護者にとって子どもの運動あそびの意味や重要性を認識することに有効である可能性が示唆された。しかしながら、それらの気づきに基づいて、実際に保護者の行動がどの程度変容しているかについて検討することはできなかった。保護者の行動変容を含めてプログラムの効果を検討していくことが今後の課題として認識された。また、親子参加の運動遊びプログラム、保護者対象の勉強会、ニュースレターやウェッブサイトを介した情報提供を有機的に連携させ、「保護者の育ちを含めた運動遊びプログラム」の質を高めていくことも課題のひとつとして認識された。
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