研究概要 |
運動によりテストステロンなどの性ホルモンは血中レベルで変動し、その変化は骨格筋の機能・形態的な適応に関与している。性ホルモンは主にアンドロゲンとエストロゲンがある。性ホルモンの産生は男性では精巣よりテストステロン、女性では卵巣よりエストラジオールが主に分泌され、副腎からもデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)が分泌される。これらのホルモンは標的組織にて直接的あるいは間接的に作用する。性ステロイドホルモン合成酵素は性ホルモンの代謝変換に関与する酵素であり、これらの酵素が働くことによって性ホルモンの合成が行われる。 我々は、骨格筋局所においてもこれらの性ステロイドホルモン合成酵素の働きによって、性ホルモンが産生されるか否かを検討している。さらに、運動が骨格筋局所での性ステロイド合成代謝に及ぼす影響について着目している。そこで本年度は、一過性運動が骨格筋内のステロイド合成経路に及ぼす影響を検討し,骨格筋局所での性ステロイドホルモン代謝の可能性について明らかにすることを目的とした。対象は8週齢の雄ラットを用い、30分間のトレッドミル走を行わせた。運動直後に腓腹筋を摘出し、ステロイド合成経路,特にテストステロンの合成代謝に関連する主要酵素である3betaHSDと17betaHSDのmRNAおよびタンパク発現を検討した。運動後に腓腹筋の3betaHSDおよび17betaHSDのmRNA発現は著明に増大した。以上の結果から、運動によりテストステロン合成経路の主要酵素が増大し、骨格筋内で性ステロイドホルモン合成代謝が活性化している可能性が考えられた。
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