研究概要 |
本年度は,まず小学生児童の疾走能力の現状を把握するため,実際の体育・スポーツ活動場面における児童の疾走動作をVTR撮影し,疾走能力をキネマティクス的観点から分析した.対象は小学2年生,4年生,6年生と大学生とし,それらを比較することでその特徴を明らかにしようとした.その結果,小学生児童は学生と比較し,疾走速度が低く,それはストライドの差によるものでピッチには大きな差がみられなかった。また,ストライドは身長あたりでみても児童のほうが小さいことがわかった.低学年と高学年の間においても同様にストライドに大きな差がみられる傾向にあった.ピッチには大きな差がみられなかったが,その内訳である支持時間と非支持時間は高学年になるにつれ支持時間が短く,非支持時間が長くなる傾向がみられ,学生の支持時間および非支持時間に近づくことがわかった.また低学年児童では1歩1歩の不安定なストライドや左右への動きなどもみられ,発育段階では成人と同様のパターンとみなされるものでも身体重心を前方へ進めるためのキック動作が未発達であることが示唆された.これらのことから,地面をキックする脚の機能に大きな特徴があることが予想され,次年度は今年度実施できなかった地面反力測定を行い,キネティクス的観点から疾走動作を分析し,さらにそれらと体力や他の運動との関係を検討することで疾走動作の開発につながる知見を得たい.
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