研究概要 |
本研究の目的はオーバートレーニング症候群(Over Training Syndrome ; OTS)の発症メカニズムを解明することであり,さらにはその予防および治療法の手掛かりとなる知見を得ることである。 平成17年度の研究計画は,ラットに長期間の強制走行トレーニングを負荷し,OTSの動物実験モデルを確立した後,海馬歯状回における神経新生および中枢モノアミン神経線維の形態がどのような影響を受けているのかを詳細に検討することであった。 本研究はOTSの実験動物モデルを作製することから始まる。ラットの強制走行には強制回転式回転ケージを用いているが,現時点でOTS動物モデルを確立させることは出来なかった。ラットが回転カゴにしがみついて強制走行を回避することがその最大要因であり,強制走行方式をトレッドミル走に変更する必要があるかもしれない。また,ラットの系統差によってストレスに対する脆弱性に大きな差異があることから,これらについての検討も課題として残された。 OTS動物の作製と平行して,OTSの発症を評価するための指標として,行動観察であるオープンフィールドテストおよび強制水泳テスト,さらに生理学的指標である体温および心拍数の日内変動および行動-睡眠パターンの変化の観察方法については,方法を確立した。 中枢モノアミン神経の形態観察については,現時点でOTSモデル動物が確立していないため,うつ病モデル動物を用いて評価を行い,形態観察の評価対象部位の検討を行なった。 今年度は海馬における神経新生の評価は行うことが出来なかった。
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