研究概要 |
本研究は、児童生徒用気分調査票POMS-A; BRUMS(Terry ら,1999,2003)日本語版作成の試みである。該当年度ではこれまでの33項目2系列試案(X-A.B)の分析・調査を踏まえ、42項目試案(Y)を完成、更に30項目(Z)、最終的に24項目(完成版)まで簡素化した。信頼性・妥当性を維持し、検証的因子分析によって4尺度(3尺度下位尺度)及び6尺度24項目として完成に至った。加えてスポーツ・教育分野で評価適正例として、(1)児童生徒の生活、学内外スポーツ活動、就寝時間、周囲対人状況等を調査し関連性を検討、(2)ある運動活動前後の運動活動介入に関する心身変化をTerry式POMS-A、及び生理学的指標を用いて検討した。 (1)の結果:運動有無に関わらず、気分変調は朝食摂取と就寝時間の影響が及んでいた。対人関係への信頼感が低い児童生徒は、精神不安定で不適応状態に堕ちやすいことが示唆された。文科省で提唱されたきちんとした食・日常生活習慣だけでなく、心身健康であるためには対人・環境状況の影響は見逃せない点である。(2)-1の結果:ある特殊運動活動前後による気分変化の検討。児童生徒、指導・補助教員においてその取り組みは、自己と他者を認め合う良い機会であり、心の健康にも繋がる良い活動となり得ることが示された。(2)-2の結果:ある児童向け体操の導入による気分変化、経時的介入効果についても検討。体操10分後には末梢血管に有意な体温上昇が見られた。朝礼等への導入により、勉強の効率面や寒冷時期や冷え性、朝体温の低い児童生徒には良い効果が得られる可能性が期待された。 このように、簡素化された質問紙で気分変化を評価することが可能となった。今後は更に青年・成人における標準化を目指し、多岐に渡る分野での使用を波及していく。
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