本研究では、超最大運動後に低強度運動の組み合わせトレーニングが間欠運動中の血中乳酸濃度の除去やパフォーマンスやエネルギー供給に及ぼす影響について検討した。 対象者は、大学サッカー選手12名であり、彼らを超最大のスプリントの後に20分間のジョグを行うS+J群6名と超最大のスプリントのみを行うS群6名に分けた。 スプリントの運動速度は、130%〜150%VO2peakであり、運動時間は約2〜3分であった。また、S+J群の20分間のジョグの運動強度は乳酸閾値の80%であった。運動は全てトレッドミルランニングであった。トレーニングは、1週間に5回の頻度で6週間行わせた。トレーニングの前後に、130%〜150%VO2peakでの超最大スプリントを15分間の低強度運動を挟んで2回繰り返す実験運動を実施した。実験運動ではスプリントの疲労困憊までの時間、酸素需要量、総酸素摂取量、総酸素借を測定した。また、低強度運動中の血中乳酸低下率を求めた。 トレーニングの結果、S+J群で最大下運動時の乳酸カーブが右にシフトした。スプリントの運動時間のトレーニング前後の変化率は、1本目がS群で12.3±6.6%で、S+J群は20.6±7.3%の増加であり、S+Jが高い傾向にあった(P=0.06)。スプリント2本目は、S群は3.9±7.8%で、S+J群は12.6±25.7%であり、両群で差は見られなかった。 トレーニング前後の総酸素需要量の変化率は、スプリント1本目は、S群の0.007±6.4%に対して、S+J群は16.2±14.9%であり有意に高かった(P<0.05)。スプリント2本目は両群で違いはなかった。 総酸素摂取量の変化率は、S群のスプリント1本目の14.9±9%に対して、S+J群は28.6±14.2%であり、S+J群が高い傾向であった(P=0.07)。スプリント2本目の総酸素摂取量の変化率は量群で同様であった。一方、トレーニング前後の総酸素借の変化率は、スプリント1本目、2本目ともに両群で違いはなかった。 超最大運動後に低強度運動を行うトレーニングでは、血中乳酸カーブが右にシフトしていたことから、乳酸利用能力が改善されたと考えられる。従って、超最大運動後に低強度運動を行うトレーニングでは、超最大運動中の乳酸を利用した有酸素エネルギー供給能力が向上し、パフォーマンスを改善させる可能性が示された。
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