研究概要 |
減量介入研究は,昨今急増しているmetabolic syndromeの予防にもつながることから,社会的な関心事として注目を集めている。中でも,いかにしてやせるかという減量方法と,いかにしてリバウンドしないかという減量後の生活についての関心は非常に高い。効果的な減量方法を目指す短期間の介入研究は数多く報告されている一方で,長期間の追跡調査研究はほとんど報告されていない。また,肥満と関連するといわれている遺伝子群が「減量しにくさ」や減量後の「リバウンドしやすさ」をも規定するかどうかについては明らかでない。そこで本研究では,以下の2つの目的を設定した。 目的(1):減量後のリバウンドが冠危険因子に及ぼす影響を明らかにすること。 目的(2):減量後のリバウンドを規定する肥満遺伝子を探索すること。 以上,2つの研究目的を達成するために,平成17年度は過去の減量介入研究参加者から,2年以上の自己管理期間を経た114名の女性を対象に追跡調査を実施した。測定項目は形態(身長,体重,BMI,腹囲,臀囲),身体組成(BI法による体脂肪率,体脂肪量,除脂肪量),腹部脂肪分布(CTによる内臓脂肪面積,皮下脂肪面積,総脂肪面積),安静時諸量(収縮期血圧,拡張期血圧,心拍数),20ccの血液から分析する総コレステロール,HDLコレステロール,LDLコレステロール,中性脂肪,尿酸,血糖,インスリン,HbA1cなどである。また,同血液標本からDNAを抽出し,肥満関連遺伝子の多型を解析した。 その結果,体重リバウンドは血圧変化と関連し,体重がリバウンドしなければ血圧は良好に維持されることが示唆された。一方,血清脂質は体重リバウンド量にかかわらず悪化することが示唆された。また,体重リバウンドを規定する肥満遺伝子として6つの候補遺伝子が挙げられた。
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